いろいろなWebサイトやアプリを見ていて「あれ、これお弁当箱みたいだな」と感じたことはありませんか。四角い枠の中に、写真やテキスト、数字がきれいに仕切られて並んでいる、あのデザインです。実はこのスタイル、デザイン業界では「ベントーグリッド(Bentoグリッド)」と呼ばれていて、もう何年も前からランディングページやダッシュボード、個人のポートフォリオサイトなど、いろいろな場所で定番のレイアウトとして使われ続けています。一時的な流行で終わらず、これだけ長く支持されているのは、それだけの理由があるということでもあります。
面白いのは、私たち日本人にとって「お弁当」というのはもともと馴染み深いものだという点です。仕切りを使っておかずを分けて詰める、あの発想がそのままUIデザインに応用されている——そう考えると、海外発の新しいトレンドというより、むしろ自分たちの生活文化が形を変えて戻ってきたような感覚があります。
この記事では、ベントーグリッドがなぜここまで支持されているのか、その背景にある心理学的な理由、実際の活用事例、そして手作業で作る場合の大変さと、それをどう効率化できるかまで、順番に見ていきます。
なぜベントーグリッドはここまで広がったのか
ベントーグリッドが注目され始めたきっかけとしてよく語られるのが、Appleの製品紹介ページです。新しいiPhoneやMacの発表時に、スペックや機能を並べたページを見た方も多いと思いますが、あのレイアウトは大きさの異なるカードを組み合わせて情報を整理する、まさにベントーグリッドの典型例です。単調になりがちなスペック表を、視覚的に見応えのあるものに変えている点が評価されています。
Notionのサービス紹介ページや、開発ツールのLinearが公開しているアップデート情報のページも、同じ発想で作られています。大きな更新は目立つ大きなカードで、細かな修正は小さなカードでまとめる。ユーザーは全部読まなくても、パッと見て重要な情報を拾えるわけです。
日本国内に目を向けても、似た発想のレイアウトは増えてきています。SmartHRやfreeeといったSaaS系のサービスサイトでは、機能紹介の部分を大小さまざまなカードで構成し、情報量が多くても圧迫感を与えないよう工夫されています。楽天やユニクロの公式サイトでも、キャンペーン情報や商品カテゴリを区切って見せるセクションに、同じような考え方を見て取ることができます。業界やブランドの規模を問わず、多くの企業が同じ結論にたどり着いているのは、単純に「効果があるから」という理由が大きいのではないでしょうか。

人はなぜこの並べ方を心地よく感じるのか
デザインのトレンドというと、見た目の好みの問題だと思われがちですが、ベントーグリッドが支持される理由は、実は認知心理学の分野でもある程度説明がつきます。
キーワードになるのが「チャンキング」という考え方です。これは、大量の情報をそのまま提示するのではなく、意味のあるまとまりに分割して見せることで、人間の脳が処理しやすくなるという原理です。電話番号を3桁ずつ区切って覚えるのと同じ発想だと考えると分かりやすいかもしれません。
従来の縦一列に並んだレイアウトでは、ユーザーは上から下へと順番に情報を読んでいく必要があり、長くなるほど視線が疲れてしまいます。一方でベントーグリッドは、テキスト、画像、数値データ、ボタンといった性質の異なる情報を、それぞれ独立した枠の中に収めます。これはゲシュタルト心理学でいう「共通領域の法則」にも通じるもので、同じ枠に囲まれた要素は、人の目に「ひとつのまとまり」として認識されやすくなるのです。
結果として、ユーザーはページ全体をじっくり読まなくても、カードの大きさや色、配置から「どこが重要そうか」を瞬時に判断できます。情報量が多いページほど、この効果は大きくなります。

実際にどう使われているのか、良い事例から学ぶ
理屈が分かったところで、実際の活用事例を見てみると、ベントーグリッドの応用範囲の広さがよく分かります。
Appleの製品ページでは、カメラ機能を紹介するカードだけを他の項目より大きく作り、視線が自然にそこへ向かうよう設計されています。文章で「カメラが一番の売りです」と説明しなくても、レイアウトそのものが優先順位を伝えているわけです。Notionのマーケティングサイトでは、少し違うアプローチが取られていて、機能の重要度よりも「説明にどれだけスペースが必要か」を基準にカードの大きさを決めています。スクリーンショットが必要な機能は大きめに、シンプルな機能は小さめに、という具合です。

国内の例では、freeeのサービス紹介ページが分かりやすいでしょう。会計、人事労務、経費精算といった複数の機能を、ひとつのセクションの中でカードごとに分けて見せることで、情報が多いにもかかわらず、雑然とした印象を与えていません。楽天のトップページも、セール情報やカテゴリ別のリンクを大小の枠で整理しており、ページを訪れたユーザーがどこから見ればいいか、直感的に理解できる作りになっています。
これらの事例に共通しているのは、単に「かっこいいから」カードを並べているのではなく、情報の優先順位や関連性を、レイアウトの段階で設計しているという点です。良いベントーグリッドは、装飾ではなく設計の結果として生まれるものだと言えます。

手作業で作ろうとすると、意外と大変
ここまで読んで「じゃあ自分でも作ってみよう」と思った方もいるかもしれませんが、実際に手を動かしてみると、これがなかなか骨の折れる作業だということに気づくはずです。
まず、土台となるグリッドを決める必要があります。一般的には12列のグリッド、もしくはもう少しシンプルな4列のグリッドを使うことが多いのですが、この基準となる枠を最初にしっかり設定しておかないと、カードの大きさがバラバラになり、全体の統一感が崩れてしまいます。
さらに厄介なのが、余白の管理です。カードとカードの間隔、カードの内側の余白、これらを最後まで一定に保つのは、フレームをひとつずつ手で調整しているとかなりの手間がかかります。あるカードの中身を少し変えただけで、隣のカードとの高さが合わなくなり、結局レイアウト全体を作り直す、という経験をしたデザイナーは少なくないはずです。
そしてもうひとつの壁が、レスポンシブ対応です。デスクトップでは綺麗に並んでいたカードも、タブレットやスマートフォンの画面幅になると、同じ配置のままでは崩れてしまいます。画面サイズごとにカードの並び方や大きさを個別に調整する必要があり、これはほとんど「別のページを一から作る」に近い作業量になることもあります。
こうした背景から、多くのデザイナーやチームが「もっと効率よくベントーグリッドを作れるツールはないか」と考えるようになりました。
Pixsoなら、ベントーグリッド制作の手間を大幅に減らせる
こうした課題に対して、Pixso は非常に相性の良いツールです。共同編集に対応したオールインワンのUIデザインツールとして、ベントーグリッドのような複雑なレイアウトを、もっと短い時間で、もっと迷いなく作れるように設計されています。

Pixso AIで、素材作りの時間をまるごと削減
ベントーグリッドは複数のカードで構成されるぶん、それぞれに入れる画像やアイコン、コピーを個別に用意する必要があり、これが地味に時間を食います。Pixsoに搭載されたAI機能を使えば、簡単なテキストの指示を入力するだけで、カードに合うビジュアルやアイコン、たたき台となる文章まで一気に生成できます。ゼロから素材を作り込む作業がなくなるため、これまで数時間かかっていたデザイン作業が、体感としてかなり短縮されます。デザインの初速を上げたいチームにとっては、地味に効きます。
オートレイアウトで、崩れないカードを実現
余白の管理に悩まされる問題は、Pixsoのネイティブオートレイアウト機能で解決できます。フレーム同士をグループ化し、間隔をあらかじめ数値で固定しておけば、あるカードの中身を変更しても、他のカードの余白や配置が自動で追従してくれます。これまでのように「1つ直すたびに全体を見直す」という手戻りがなくなり、デザインの一貫性を保ったまま作業を進められるのが大きな強みです。地味な作業ほど自動化の恩恵は大きく、ここは実際に使ってみると差を実感しやすい部分だと思います。
レスポンシブグリッドで、多端末対応も一瞬に
そして、もっとも工数がかかりがちなレスポンシブ対応についても、Pixsoは強力な武器を持っています。柔軟な制約条件と、親要素・子要素の関係をあらかじめ設定しておくことで、画面幅が変わってもカードの並び方や大きさが自動的に調整されます。デスクトップ、タブレット、スマートフォンそれぞれでカードがどう折り返される・積み重なるかをその場でプレビューしながら確認できるため、デバイスごとにページを作り直す必要はありません。ひとつのデザインを、一貫した体験のまま各画面サイズに展開できるようになります。
ゼロからカードやボーダー、テキストの組み方を考えるのではなく、Pixsoにあらかじめ用意されたレイアウトやUIパーツを活用すれば、クオリティの高い画面を短時間で組み上げることも可能です。結果として、デザインの保守にかかるコストも抑えられます。
まとめ
ベントーグリッドは、単なる見た目のトレンドではなく、人が情報をどう認識し、どう処理するかという性質にしっかり根ざしたデザイン手法です。Apple、Notion、freee、楽天など、業界やブランドを問わず多くのサービスが採用しているのは、決して偶然ではありません。とはいえ、その効果を最大限に引き出すには、グリッドの設計から余白の管理、レスポンシブ対応まで、地道な作業を積み重ねる必要があります。
もし今、手作業でのベントーグリッド制作に限界を感じているなら、Pixso のようなAIとオートレイアウトを備えたツールを使ってみる価値は十分にあります。作業時間を減らしながら、デザインの質は落とさない。そんなワークフローを、ぜひ一度試してみてください。