ログイン画面では、利用者が自分のアカウントで先へ進めることが第一です。入力欄を簡潔に並べるだけでなく、新規登録との違い、入力ミスからの修正、パスワードを忘れた場合の案内まで設計します。
チームで画面を確認する場合は、UXデザインをチームで検討する方法と合わせて、変更理由と確認条件を共有しておくと判断がぶれません。
本記事では、ログイン画面の設計に必要な次の3点を整理します。
- ログイン機能の仕組み
- ログイン画面に必要な要素
- ログイン画面に必要なポイント
LinkedIn、Mint、Facebook、GoDaddyの掲載例も取り上げます。画面をそのまままねるのではなく、自分のサービスで必要な入力と案内を考える手がかりにしてください。
1. ログイン機能の仕組み

ログイン画面を設計するときは、入力後に認証が行われ、結果に応じて画面が変わることを理解しておきましょう。成功画面だけでなく、確認中、認証失敗、再ログインが必要な場合も対象になります。
ここでは、IDとパスワードによる認証と、セッションCookieでログイン状態を扱う構成を例に説明します。すべての認証方式がこの構成になるわけではありません。
1.1 パスワード・ID確認
IDとパスワードでログインする場合、利用者はアカウントを特定する情報とパスワードを入力し、ログイン操作を行います。
送信された情報はサーバー側で確認されます。画面はその結果に応じてログイン後のページへ進むか、認証できなかったことを伝えます。入力しただけで成功扱いにせず、確認中の状態も示す必要があります。
1.2 セッションとCookieによるログイン状態の管理
セッションを使う構成では、サーバー側がログイン状態を管理し、ブラウザにはセッションを識別するための値をCookieとして渡す方法があります。Cookieとセッションは同じものではありません。
ブラウザは、Cookieの送信条件に合うリクエストにその値を付けて送信します。サーバーは値を検証し、対応するセッションが有効かを確認します。「Cookieは誰、Sessionは何をするか」という役割分担ではありません。
ブラウザにパスワードそのものを保存する、という意味でもありません。セッションが期限切れになった場合などは再認証が必要になるため、作業中にログイン画面へ戻る場面も検討しましょう。仕組みの詳細はMDNのHTTP Cookie解説(英語)を参照してください。
2. ログイン画面に必要な要素

画面に置く要素は、採用する認証方式に合わせて選びます。
まず必須の入力を決め、その後にパスワード再設定や新規登録への導線を配置すると、主操作と補助操作を整理しやすくなります。
2.1 基本的な要素構成
ID・パスワード方式で検討する主な要素は次のとおりです。ユーザー名、アカウントID、メールアドレスは識別情報の選択肢であり、すべてを同時に要求するものではありません。
- ユーザー名
- アカウントID
- メールアドレス
- パスワード
- パスワードが不明な場合の対処法
- ログインボタン
採用した識別情報に合うラベルを付け、利用者が何を入力すればよいかを伝えます。パスワードが分からない人には再設定への入口を示し、入力を繰り返す以外の進み方を用意しましょう。
利用者の立場で、アカウントを持っている場合、登録がまだの場合、認証情報を忘れた場合を分けて確認すると、案内の不足を見つけやすくなります。
2.2 ソーシャルログイン
ソーシャルログインは、外部サービスのアカウントを利用するログイン方法です。自社サービスの利用者に合う場合は、認証方法の選択肢になります。
利用者がすでに持つアカウントを使えるため、新たなパスワードを作成・管理する負担を減らせます。
ただし、ユーザー情報の入力が必ず不要になるわけではありません。提供元への同意や、サービスに必要な追加情報の入力が発生する場合もあるため、選択後の流れを明確にしましょう。
すべてのサービスに必須の方式ではありません。提供元を使えない人や組織の利用方針も考慮し、必要に応じて別のログイン方法を案内します。
3. ログイン画面UIデザインに必要な5つのポイント

ここからは、最初の画面、新規登録との区別、パスワードの表示切り替え、識別情報、エラーの案内という5つのポイントを確認します。
3.1 ファーストビューの設計
最初の画面では、ログインに必要な入力と操作を見つけやすくします。不要な操作を減らすことは有効ですが、認証や安全確認に必要な操作までなくすわけではありません。
次のように、利用者の負担を具体的に見直しましょう。
- ログインに必要のないクリックを減らす
- 不要な待ち時間を減らし、認証中は状態を伝える
- 説明を簡潔にし、入力に必要な情報は残す
- ラベルと操作結果を明確にし、推測を減らす
目的は操作をゼロにすることではなく、ログインに関係のない負担を減らすことです。補助リンクを整理しても、再設定や新規登録への入口が見つからなくならないようにします。
3.2 サインアップとサインインを分ける
新規登録(サインアップ)とログイン(サインイン)は、別の操作として区別します。
似た言葉を並べるだけでは、アカウントを持っている人が登録画面へ進んでしまうことがあります。「新規登録」「ログイン」のように、利用者が理解しやすいラベルを選びましょう。
配置と見た目の両方で役割を区別できます。
- 主操作のログインと、補助導線の新規登録を整理して配置する
- 必要に応じてアイコンを使い分け、文字のラベルも付ける
アイコンや色の違いだけに頼らず、「アカウントをお持ちでない方」といった補足で次の行動を伝えると、目的に合う操作を選びやすくなります。
3.3 パスワードの表示を切り替えられるようにする
パスワードは通常は伏せて表示し、利用者が必要なときに入力内容を確認できる切り替えを設けます。常に平文で表示するのではなく、周囲から見られる可能性にも配慮します。
「パスワードを表示」「パスワードを隠す」など、操作内容の分かる名前を付けます。キーボードでも切り替えられ、表示を変えても入力した値が消えないことを確認しましょう。
3.4 メール・電話番号での登録
アカウントを識別する情報として、ユーザー名の代わりにメールアドレスや電話番号を使う方法もあります。登録時の入力だけでなく、ログイン時の思い出しやすさと復旧方法も含めて選びます。
ユーザー名を採用する場合は、次の点を検討しましょう。
- 本名を要求する場合は、必要性と公開範囲を説明する(ユーザー名は必ずしも本名ではない)
- ユーザー名を忘れた場合の確認・復旧方法を用意する
- 一意のユーザー名が必要なら、重複時に修正方法を案内する
メールアドレスや電話番号を使う場合も、変更や利用不能に備えた復旧が必要です。重複だけを理由に方式を決めず、利用者が継続して使える連絡先か、どのように本人確認するかを検討してください。
3.5 エラー内容を表示する
入力漏れや形式の誤りと、送信後の認証失敗では、適した案内が異なります。
未入力やメールアドレスの形式エラーは、該当欄の近くで修正方法を伝えます。一方、認証失敗時に「このアカウントは存在しません」などと表示すると、第三者によるアカウントの有無の確認に利用されるおそれがあります。
認証に失敗した場合は、たとえば「メールアドレスまたはパスワードを確認してください」と案内し、安全な再設定への入口を用意します。再設定や登録の応答も含め、OWASPの認証ガイド(英語)を参考に、説明の分かりやすさと情報を明かしすぎないことを両立させましょう。
入力中の分かりやすさに加え、ログイン後に目的の画面へ進めるかも重要です。ナビゲーション設計の基本を参考に、認証の前後を一続きのユーザーフローとして確認しましょう。
4. ログイン画面UIデザインの参考例

以下は、本記事で取り上げてきたログイン画面の掲載例です。サービスの現行画面とは異なる可能性があるため、配置や案内の考え方を比較する参考として扱ってください。
4つの例を、入力欄の見つけやすさ、新規登録との区別、補助情報の量という観点で比べてみましょう。見た目だけから、認証の安全性や使いやすさを断定することはできません。
4.1 LinkedIn

LinkedInのログイン画面を取り上げます。仕事に関するつながりや求人を扱うサービスでも、まず自分のアカウントへ進めることが重要です。
この例では、ログイン用の入力フィールドの配置に注目してください。どこにどの認証情報を入力するのかを明確にするのが目的であり、検索フィールドの設計とは区別します。
4.2 Mint

上記はMintの旧ログイン画面の掲載例です。現在、Mintの公式サイト(英語)ではCredit Karmaへの案内が行われているため、現行サービスの操作手順としては扱わないでください。
この掲載例での比較ポイントは、サインインとサインアップを分けた配置と、オレンジ色による強調です。色だけで区別させず、操作名と位置の両方で違いを伝えられるかを考えましょう。
最初の画面に要素を絞る場合も、迷いが必ずなくなるわけではありません。既存利用者がログインへ、新しい利用者が登録へ進めるかを確認します。
4.3 Facebook

Facebookのログイン画面の掲載例です。入力やログイン操作を中心に据える構成を検討する参考になります。
説明を減らしても目的が伝わるかは、利用者がサービスを知っているかによっても異なります。シンプルさを見た目の少なさだけで判断せず、アカウントの確認や再設定に必要な案内が残っているかを見ましょう。
4.4 GoDaddy

GoDaddyのログイン画面の掲載例です。入力欄以外の情報をどのように整理するか、という観点で比較できます。
複数の情報を同じ画面に置く場合は、色や余白でまとまりを作り、ログイン操作と補助情報を区別します。ただし、色を分けただけで誰にでも分かりやすくなるとは限りません。
初めて使うサービスでは説明が助けになる場合がありますが、企業の認知度だけで情報量を決める必要はありません。何のアカウントを使うのか、困ったときにどこへ進むのかなど、ログインに必要な情報を優先しましょう。
5. ログイン画面UIデザインに役立つ無料ツールPixso
ログイン画面を試作するツールとして、無料で利用を開始できるPixsoを紹介します。共同編集や共有の範囲は料金・プランで確認してください。
5.1 Pixso

Pixsoでは、UIデザインから画面をつなぐプロトタイプまで作成できます。ログイン画面を設計する際は、次の使い方が考えられます。
- 無料で試作を開始し、必要なプランを検討する
- 対応形式のファイルをインポートし、既存デザインを活用する
- 入力欄やボタンをコンポーネントとして管理する
- 利用人数と共有範囲に合わせて費用を確認する
- 同じファイルで状態の違いをレビューする
通常のログイン、認証エラー、パスワード再設定の画面を同じファイルに用意し、入力欄とボタンを共通化します。プロトタイプで画面をつなぐと、エラーから修正へ戻れるかをチームで検討できます。実際の認証やセッション管理は別途実装・検証が必要です。
5.2 Pixsoの機能
主要なデザイン機能を、各社の公式情報に基づいて比較します。優劣の記号ではなく、自分たちの作業に必要な機能と利用条件を確認するための表です。
| 機能 | Pixso | Figma | Sketch | Adobe XD |
|---|---|---|---|---|
| 利用環境 | ブラウザ/デスクトップアプリ | ブラウザ/デスクトップアプリ | macOSで編集、ブラウザで確認・共有 | macOS/Windows |
| ベクトル編集 | ペンツール、ベクトルネットワーク | ベクトル編集 | ベクトル編集 | ペンツール、パス編集 |
| 内容に応じたレイアウト | 自動レイアウト | Auto layout | Stack Layout | Stacks、レスポンシブサイズ変更 |
| 画面間の接続 | フレームをつなぐプロトタイプ | フレーム間のプロトタイプ接続 | 画面をつなぐプロトタイプ | アートボード間のワイヤー接続 |
| ライブラリの共有 | チームライブラリ | 共有ライブラリ | Libraries | Creative Cloud Libraries |
| 公開素材・拡張リソース | コミュニティ、リソースライブラリ | UIキット、テンプレート、プラグインなど | テンプレート、プラグインなど | UIキット、プラグインなど |
| 共同編集 | リアルタイム共同編集 | リアルタイム共同編集 | リアルタイム共同編集 | クラウドドキュメントの共同編集 |
| プロトタイプの操作 | トリガーと画面遷移を設定 | インタラクションと画面遷移を設定 | インタラクションと画面遷移を設定 | トリガーと画面遷移を設定 |
| 開発への共有 | 仕様確認、コード情報、素材の書き出し | Dev Modeで仕様を確認 | ブラウザで仕様確認・素材を書き出し | デザインスペックを共有 |
ログイン画面の通常状態、エラー、再設定を実際に試作し、部品の再利用、レビュー、開発への共有まで試すと、自分たちに合うツールを判断しやすくなります。機能の概要は、Pixso公式サイト、Figma Design(英語)、Sketch Design(英語)、Adobe XDヘルプ(英語)を参照しています。各社で対応環境、プラン、編集権限が異なり、同じ行に載る機能でも操作や範囲は同一ではありません。Adobe XDは現在メンテナンスモード(英語)のため、新規導入時は利用条件と今後の運用も確認してください。
ログインをプロトタイプで検証する
ログイン画面は入力欄だけを作って終わりにせず、成功・失敗・中断からの復帰までを一つの体験として確認します。メールアドレスの形式エラー、認証情報の不一致、通信待ち、パスワード再設定完了後の戻り先を用意すると、実装前に迷いやすい箇所を見つけられます。
- 入力前:必須項目、入力例、パスワード表示切り替えを理解できる。
- 失敗時:原因を断定しすぎず、再入力や再送の方法を示す。
- 復帰時:入力途中の内容を失わせず、戻る先とログイン状態を説明する。
状態ごとの導線を画面遷移で確認する場合は、Pixsoのプロトタイプ機能で成功・失敗・復帰の3経路をつなぎ、レビュー参加者が同じ手順を試せるようにします。
6. まとめ
ログイン画面は、入力して成功する場合だけでなく、登録が必要な場合や認証情報を忘れた場合まで含めて設計します。重要なのは次の3点です。
1. 必要な入力と主操作を見つけやすくし、不要な負担を減らす。
2. ログイン、新規登録、再設定を分かりやすい言葉と配置で区別する。
3. 入力の修正を助けながら、認証エラーでアカウント情報を明かしすぎない。
まずはPixsoで通常画面と認証エラー、再設定の入口をつなぎ、利用者が行き止まりにならずに操作を続けられるかを確認してみましょう。