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あやね
あやね

公開日:2026年10月31日 更新日:2026年10月31日

ユーザージャーニーマップは、ある人が目的を達成するまでの体験を時系列で整理した図です。何をするのか、どの接点を使うのか、何を必要としているのか、どこで体験が途切れるのかを示します。特定の状況について得られた根拠をもとに作り、図から何を変えるべきか判断できる状態にすることが大切です。

まず対象者と目的を決め、観察した事実を集め、体験を段階に分けます。そのうえで、重要な課題を担当者と次の行動につなげましょう。改善案をUXデザインやプロトタイプのレビューに持ち込めば、マップを実際の画面やサービスの改善に生かせます。

破損した商品の交換を4段階で整理し、集荷前の梱包案内を強調した図

複数の接点にまたがる課題に使う

ジャーニーマップが特に役立つのは、体験が一つの画面で完結しないときです。たとえば、届いた商品が破損していた顧客は、アカウント画面から連絡し、メールで案内を受け取り、集荷を手配して交換品を待ちます。各画面だけを見れば問題がなくても、体験全体では次に何をすればよいか分からない場面が生まれます。

画面ごとの操作経路を表すなら、ユーザーフロー図が適しています。操作、判断、システムの分岐を示す図です。一方、サービスブループリントは、サービスを届ける側の人、業務、システムも扱います。ジャーニーマップの中心にあるのは、あくまで利用者の体験です。これらの図は関連付けられますが、答える問いが異なります。

NN/gのジャーニーマッピング解説(英語)では、対象者、シナリオ、段階、行動と考え、改善の機会を主要な要素として挙げています。形式は一つに決まっていません。ただし、関係する全員を架空の「平均的な顧客」にまとめず、誰の視点を表しているのかを明確に保ちます。

対象者、目的、開始と終了を決める

通販で届いた破損商品の交換を例に考えます。対象者は、届いた商品の代わりに問題なく使える商品を受け取りたい既存顧客です。マップは破損に気付いた時点から始まり、交換品が届いて手続きが完了したと分かる時点で終わります。購入前の商品比較や、あらゆる返金条件まで含める必要はありません。

この対象範囲を図の上に書きます。さらに、どの時点のサービスを扱うか、交換対象の商品であること、国内配送であること、販売店が集荷を手配することなど、体験を左右する条件も記録します。海外からの返品では、税関、配送業者、選べる対応が変わるため、別のマップが必要になることがあります。

現在の体験を表すのか、将来の改善案を表すのかも決めておきます。両者は別の図にしましょう。まだ存在しない確認メッセージを現状のマップに入れると、チームがその案内はすでに提供されていると誤解するおそれがあります。

画面と画面の間で起きることも調べる

材料になるのは、利用場面の観察、最近交換を依頼した人へのインタビュー、サポートへの問い合わせ、実際に届くメール、現在のアカウント画面などです。それぞれの情報から分かることは異なります。分析データで依頼画面を開き直していると分かっても、何を探していたかはインタビューで確かめる必要があるかもしれません。

出来事は、状況と出典を添えて記録します。たとえば「依頼画面を閉じた後、集荷確認メールをもう一度開く」は観察した行動です。一方、「不安に感じている」は、本人がその気持ちを示していなければ解釈に当たります。チームにとって面倒そうな手順だからといって、感情曲線を下げる根拠にはなりません。

広く共有するボードには、注文者の個人情報を載せません。権限のあるメンバーが元の記録をたどれるよう、個人を特定しない参照番号を使います。根拠がない箇所は「未確認」とします。空欄のあるマップでも検討は進められますが、作り上げた答えは後から訂正しにくくなります。

作成例:破損商品の交換

以下は顧客調査の結果ではなく、接点と具体的な設計課題を結び付けるための例です。実際のプロジェクトでは、例示した内容を自分たちの調査で得た根拠に置き換えます。

段階行動と接点疑問・情報の不足検討する改善
破損を連絡する注文ページを開き、商品を選んで写真を添付する。交換と返金のどちらを選べるか分かるか。証明用の情報を求める前に、選べる対応を説明する。
集荷を手配する集荷日を選び、確認メールを読む。サイト上で一時的に表示された梱包の説明がメールにない。確定前に梱包方法を示し、後から読める案内にも残す。
荷物を渡す商品を準備し、配送業者に引き渡す。対象の荷物を特定し、集荷の案内を再確認できるか。集荷番号と準備方法へ、いつでも迷わず戻れるようにする。
交換品を受け取る配送状況を確認し、届いた交換品を点検する。交換品の配送を、元の注文と見分けられるか。交換品と分かる表示を付け、手続きが完了したことを明確にする。

改善案がすべて新しい画面になるわけではありません。分かりやすいメール、正確なラベル、後から確認できる番号が、依頼フォームの作り直しと同じくらい重要な場合もあります。マップにすることで、チャネル間のつながりが見えてきます。

すべての顧客をこの一つの経路に当てはめないことも大切です。元の梱包材を捨てた人には別の準備方法が必要かもしれません。集荷時に在宅できない人には別の受け渡し方法が必要かもしれません。目的、手順、サービス上の判断が変わる違いなら、分岐や別のマップを追加します。小さな表現の好みの違いだけで図全体を複製する必要はありません。

確認できた課題と、その理由の仮説を分ける

後の調査で、集荷メールを受け取った顧客がアカウント画面へ戻っていると分かったとします。その行動だけでは、メールが分かりにくいとは断定できません。日付の確認、住所の変更、受付番号の確認、梱包方法の検索など、さまざまな理由が考えられます。

まずメールの内容と、画面で約束していた内容を比べます。次に、利用者が何を見つけようとしていたのかを確かめます。根拠から梱包方法の不足が確認できたら、「確認メールには集荷日があるが、準備方法を後から確認できない」と課題を具体化します。「返品時に顧客が不満を感じる」よりも、何を変えるべきか判断しやすくなります。

どの程度の根拠があるかも示します。一件の観察から実際の失敗を見つけることはできますが、それがどれほど頻繁に起きるかまでは分かりません。すでに手順を知っていた顧客など、異なる結果の事例も残します。それにより、案内を常時表示するのか、必要なときに開けるようにするのか、特定の条件で出すのかを検討できます。

Pixsoで読み取りやすいマップを作る

Pixsoホワイトボードでは、横方向に段階、縦方向に行動、接点、根拠、改善案を並べます。付箋、テキスト、図形、コネクタを使えば、関係を整理できます。列の上には短い対象範囲の説明、図の横には根拠を表すラベルの凡例を置きましょう。

同じ種類の情報は、同じ見せ方にそろえます。「観察済み」の付箋と、将来の提案は見分けられるようにします。色だけでなく言葉でも区別すれば、モノクロで書き出した場合や色の見え方が異なる人にも意味が伝わります。

集荷確定画面の現状を該当する段階の横に置き、その隣に準備方法と集荷番号を示した改善案を配置します。操作を検討する詳細画面やプロトタイプにもリンクします。ボードは根拠と議論を整理する場所であり、調査データの収集や改善案の検証が自動で行われるわけではありません。

Pixsoのキャンバスに行動、接点、改善案を並べた商品交換ジャーニーの作成例
商品交換の例で、梱包方法が不足している箇所と、変更すべき接点を結び付けています。

チームが実行できる改善につなげる

梱包方法が不足している課題には、二つの関連する行動を割り当てます。サービスの担当者は、実際に必要な準備条件を確認します。デザイナーは、確認された案内を確定前に示し、確定後も読めるようにします。これにより、運用ルールが不明なまま、見栄えのよい不正確な文言で埋めてしまうことを防げます。

関連する部分をプロトタイプにし、対象に近い参加者に、提示された情報を使って集荷の準備をしてもらいます。何をすればよいか説明できるか、番号をもう一度見つけられるか、次の行動が分かるかを観察します。この課題では、「確定」ボタンを押せたかだけでは十分に評価できません。

変更後はマップに戻り、どの接点を変えたかを記録します。追加調査の根拠をリンクし、未解決の問いは残しておきます。目指すのは、ワークショップの終了とともに更新が止まる飾りの年表ではなく、次の判断に使える、チームで共有された体験の記録です。

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